2014年9月21日

夕暮れの空に謎の生命体が舞う!パトリシア・ピッチニーニ「Skywhale」



週末の夕暮れ、ビルとビルのスキマに現出した空き地、雨上がりの空に巨大な謎の生命体が浮かび上がった。

9月20日(土)、都市のスキマで繰り広げられるクロスジャンルなアートプロジェクト『TRANS ART TOKYO 2014 神田リビング・パーク』のレセプションが、イベントのメイン会場となる旧東京電機大学11号館跡地で行われ、オープニング・パフォーマンスとしてオーストラリアを代表する現代美術作家、パトリシア・ピッチニーニさんの巨大な気球作品「Skywhale(空飛ぶクジラ)」の係留飛行が行われました。




ピッチニーニさんは生命や環境などをテーマに、絵画、立体、映像などの幅広い表現活動を展開する作家で、Skywhaleは2013年にオーストラリアの首都・キャンベラの100周年を記念して制作されました。

クジラとしてはいるものの、亀のようにも見える頭、鳥を思わせる尻尾、両方の横にある翼かと思えば先には乳房のようなものが5つずつ垂れ下がっていて、ユーモラスでもあり、グロテスクでもあり、見るものによっては、自然を感じたり、科学的に合成された生命体にも見え、不自然なほどの巨体が、神田のビル街を背景に浮かび上がった圧倒的なその姿は、生命の神秘と異形を同時に訴えかけてきます。下には通常の気球と同様にゴンドラが吊り下げられ、人が乗ることができるようです。


パトリシア・ピッチニーニさん
この映像は、薄暮の中にその巨体を現出していく様を、iOS8で標準となったカメラアプリ機能のタイムラプス(微速度撮影)を使って撮影したもの。はじめはかなり近くで撮影していたので、係留のロープの範囲から出るように指示があって、一度、映像が途切れますが、最終的には高さ24m、長さ36mもの巨大な気球となる同作品は、その後、どんどん巨大化していき、作品全体を収めるために、何度となく、撮影を止めて、後ろに下がって撮影を続ける必要がありました。ただの布切れから、いまにも自分から動き出しそうな生命体へと変貌していく様はタイムラプスだからこそ、うまく収められているのではないかと思います。


Skywhaleの係留飛行は会期中の9月21日(日)、27日(土)、28日(日)の8:00〜11:00、17:00〜20:00の1日2回行われます。また、同会場で10月19日(日)、20日(月)に2001年の横浜トリエンナーレのシンボルとして注目された椿昇さんと室井尚さんによる「インセクト・ワールド - 飛蝗」の巨大バッタがお目見えします。








2014年9月10日

本命はApple Watch。もうiPhoneは過去の遺物?

アップルの発表会で新たに「iPhone 6」と「iPhone 6 Plus」、新しいカテゴリの「Apple Watch」が発表されました。で、ひとつひとつ見ていこうかな、と。





まずiPhone 6とiPhone 6 Plusですが、このネーミング。往年の Macintoshユーザの方なら、Macintosh Plusを思い出しちゃったんじゃないでしょうか?別にシンプルでいいとは思いますが、やっぱり一捻り欲しかったかなぁ、と。同じiPhoneでも、別カテゴリのようなネーミングにして、単にAndroid対抗でないところを見せてもよかったかも。

デザインについては、好みもあると思いますが、5sまでのエッジが立った感じのものに比べ、初期のものを思い起こさせるような丸みを帯びたデザインは僕は好きです。全体的にiPod touchに感じが似ている点もいいですね。

薄さを強調されていますが、6,9mmはiPhone 6で、iPhone 6 Plusは7.1mm。iPhone 5sの7.6mmよりは薄いですが、重量のことを考えるとどうなんだろうかな、と。5sの112gと比べて、6 Plusは172gと50gオーバーで結構な重量級なんじゃないでしょうか?








で、大画面になったことについてですが、大きな画面を使いたかった人にとって選択肢が増えたのはいいことなんじゃないかな。ただ、iPhone 6も地味に大きくなっていて、これまでのサイズを使いたい人にとっては結果としてどうなんだろう? 僕的には遠視もそろそろキツイので拡大表示ができるのはうれしいですね。

画面が大きくなることで指が届かなくなったり、片手で操作できないことなど、操作性を心配する声がありました。個人的には、その解決策はアップルらしいエクスペリエンスがあることを楽しみにしていたのですが……。ホームボタンをダブルタップすると画面が降りてくる……、う〜ん、これすか?

それよりも僕が楽しみなのは、6 Plusで採用されている1,920 x 1,080ピクセルという高解像度のRetina HDディスプレイですね。基本的にメールやSNSなどのコミュニケーションツールを使う以外には、写真を撮るか、ゲームをするか、動画を見るか、のほぼ三択になっているので、大きいだけじゃなく美しいディスプレイが必須だったので、これで納得のいく画質ならば買いだと思ってます。ただ、このデカさだと写真を撮るときにシャッターチャンスを逃しちゃうかもしれませんね。

価格については、キャリアにはかなり厳しいビジネスを強いることになりそうだなぁ、と。

続いて、ついにクックCEOは伝家の宝刀、one more thingを抜いた Apple Watch ですが、ネーミングは大正解だと思います。そもそも誰がiWatchなんてダサい名前を勝手につけちゃったんでしょうね。



僕はこのWatchと名付けたところに、アップルがこれで完全にデジタルツールの企業からライフスタイルを演出する新しいタイプの企業へと変貌したのだと感じました。同時にWatchとネーミングすることで、数多くの高級時計メーカーや時計を出しているハイブランドと並ぶことになったと思います。

普通のデジタルツールの企業なら、EDITIONという高品質なバージョンについては、ルイ・ヴィトンやシャネルのようなブランドとコラボレーションしたものを出してくるところでしょうが、18Kのケース、サファイアクリスタルのディスプレイにさまざまな選べるベルトで、高級感溢れた個性を演出することで、いわゆる時計マニアをも納得させるものに仕上げてきたのではないでしょうか?


また、ハイブランドの時計の特徴は、ジュエリーを加えて高級感を演出したり、それによってつけられる高額な価格にもあるわけですが、そうした人たちの優越感を満足させるようなものをアップルが今後のラインナップに加えてくるか、という点について、希望も含め、僕は否定しておきたいと思います。アップルの目指すところは、そうした即物的な欲ではなく、情報をうまく取り回し、時間や空間を豊かにしていくことで、新しい人生の価値を作り上げていくことにあるのだと思います。

褒めてばっかりいますが、デザイン的には僕的にはいまいち好きじゃないんですよね。時計はやっぱり丸いのがいいなぁ、と。丸いディスプレイのバージョンが出たら考えてみたいと思います。っていうか、丸いディスプレイのものが出たら、それはそれでエポックメーキングなんじゃないかな、と(笑)


振り返ってみると、iPhoneは確かにサイズなど外観で目立ったモデルチェンジになりましたが、よくよく考えてみると、基本を大きく変更するようなモデルチェンジではなく、想定内のものでした。その点、新しいカテゴリとなるApple Watchは、今後のアップルを方向を示す新しさに満ち満ちたものになったのではないかと思います。

あーあ、しかし、今回もiPod touchの新製品でなかったなぁ。