2013年11月26日

MUSEUM PROFILE 01 : 群馬県立館林美術館

群馬県立館林美術館を南西側のアプローチからのぞむ。中央のレンガ色の建物は展示室1

群馬県立館林美術館は群馬県の第2の美術館として2001年10月26日に開館しました。館林市郊外の白鳥の飛来地として知られる多々良沼近くの水耕田跡地で、美術館裏手にあたる西側には多々良沼に注ぐ多々良川が流れる場所に位置する自然豊かな美術館です。


美術館裏手の多々良川に白鳥の姿が

美術館南側、多々良沼方向に広がる田園

3つの展示室、講堂などを収めた本館がレンガ色の三日月型をした展示室1を取り囲むように弧を描いて建ち、展示室1は広大な芝生に向けて開口した窓から自然光が気持ちよく入り込む印象的な空間です。同館の設計は第一工房(代表:高橋靗一)が担当し、2004年に第17回村野藤吾賞を受賞しています。

2009年に開催された企画展示「エコ&アート-アートを通して地球環境を考える-近くから遠くへ」で日比野克彦さんが制作した「DNA PLAIN」は広大な芝生広場と展示室1の特徴を大いに活かした大変印象深い展示でした。芝生広場から連続する形で来場者が植えた(貼り付けた)色紙の草原が展示室1に広がり、その延長の壁面には岐阜県美術館で長良川をモチーフに同様の手法で制作された「DNA RIVER」(2006年)があり、展示室内に広大な自然が広がっていました。

同展は非常に暑い館林の夏を少しでも涼しくという発想から、企画された展覧会でした。同館では2005年に同様に夏をテーマにした「夏の蜃気楼 自然をうつしだす現代の作家たち」展が開催されており、いまだに僕の中では好きな企画展の10本のうちのひとつになっています。


間近で見ると思いのほかダイナミックなフォルムの展示室1
芝生に面した窓が特徴的な展示室1

「DNA PLAIN」日比野克彦(2009)

敷地内には同館が「シロクマ」をはじめとした作品を収集しているフランス人彫刻家、フランソワ・ポンポンさんのアトリエを再現した別館があります。敷地内北側に林が設けられ、その林の中に立つ別館の佇まいはまるでフランスの田舎に迷い込んだようです。同館ではポンポンさんの代表作である動物彫刻を多数収蔵していますが、収蔵後に作家の死後に鋳造されたものであることがわかり、作家本人が死後鋳造を作品として認めない遺言を残している事から、公開できない残念な状況になっています。個人的には作家未承認のままの限定的なものでも構わないので、公開を期待しています。


『シロクマ』フランソワ・ポンポン

ブルゴーニュのワイン農家を思い起こさせるような別館。館内にはフランソワ・ポンポンのアトリエが再現されている


本館の弧の部分にはミュージアムショップやハッシュドビーフが評判のレストラン イル・コルネットがあります。設計は第一工房(代表:高橋靗一)で2004年に第17回村野藤吾賞を受賞しています。また、同館東側の道路沿いには館林市出身の彫刻家・藤野天光さんの作品をはじめ、彫刻作品38点が約2キロメートルにわたって屋外展示された「彫刻の小径」があります。


水盤を横切って隣接のレストランへ

同館へのアクセスは都内からなら東武鉄道の特急りょうもうで、浅草(北千住経由)から館林の所要時間は約60分です。渋谷・新宿方面からJR湘南新宿ラインを利用した場合、久喜で東武鉄道に乗換て約30分です。館林駅から美術館は巡回バスがありますが、本数が少ないので、タクシー(10分ほど)が便利です。また、天気がよければ、館林駅の隣、多々良駅から歩いてもいいでしょう。20分強とちょっと歩きますが、多々良川に沿って歩いて美術館に入って行くのはなかなか素敵な体験です。ただし、途中に休める場所はうどん屋さんぐらいしかないので要注意です。


東側駐車場より見た芝生広場美術館

2014年1月13日まで群馬県とゆかりのある作家・山口晃さんの個展『山口晃展 画業(ほぼ)総覧 お絵描きから現在まで』を開催中

『山口晃展』展示のようす

『山口晃展』展示のようす


[開館時間]
9:30〜17:00(入館は16:30まで)

[休館日]
毎週月曜日(祝日・振替休の場合はその翌日。ただし、4月29日から5月5日までの間および8月15日を含む週は休館しません)、年末年始(12月29日から翌年1月3日まで)。

[問い合わせ]
〒374-0076  群馬県館林市日向町2003
TEL 0276-72-8188(代表)FAX 0276-72-8338

        



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